「長時間待機や無理な運行があることによって新しい乗務員が定着しない、集まらない。そのことは分かっていても取引のことを考えると言えなかった」。
1月末の、西日本の広い範囲での大雪による雪害。スタック車両で前にも後ろにも進めず、「運行開始から30時間以上も経って無事帰ってきた乗務員に『お帰り。ご苦労さん』しか言えなかった」と話す運送経営者。荷主に対して運行中止を言い出せなかったことを悔やんだ。
荷主による違反原因行為には、大雪のような自然災害時に荷主が運行を強要した場合なども含まれる。
しかし本紙取材では、「どうしても運行して」とトラック事業者に強要した事例は一例もなかった。
「強要」と「トラック事業者による運行意思」との間には厳然とした距離がある。
そしてその距離を目の前にしてトラック事業者の頭に浮かぶのは「今後の取引」「発注量の減少」だ。
長時間の荷待ちに代表される違反原因行為を国交省などに通報する時に頭をよぎるのもまた、こうした考えだ。
あるトラック事業者は、「事業者からの通報を前提とした『働きかけ』ではないやり方、例えばETC2.0などの位置情報から国交省が把握した荷待ちの多い倉庫、荷主を特定する方法は取れないものか。運送事業者からの情報に任せていて2024年問題が解決するとは思えない」。
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